正式な食器の習わし
お食い初めの食器は、母方の実家が贈るのが昔ながらの習わしとしてあります。
高脚の御前に漆器をのせたものが正式なお食い初め食器となります。
男女で食器の色が異なります。
男の子は内外ともに朱色の漆器、女の子は外側が黒色、内側が朱色の漆器です。
朱色は、古来中国では高貴さの象徴であり、歳月によって変色や消滅しないなど、不老不死を希求する人たちに愛用されてきました。日本でも朱は神社・仏閣、高貴な物やおめでたいものに朱色を使ったようです。古来日本では男子の誕生は尊いものであったことから、男子用の器には全面朱色の器が使われ、女子の器は内側だけ朱色の器を使ったようです。
男の子

- 外側も内側も朱塗り
- 金か黒漆で男紋を入れる
- 御前の脚が低い
- 絵付けは菖蒲や日輪などの昇運や縁起のよい文様
女の子

- 外側が黒塗り、内側は朱塗り
- 銀で男紋を入れる
- 御前の脚が高い
- 絵付けは優雅な花文様や、束ね熨斗(のし)の文様
漆器の名称と使い方
和食作法 の 「本膳料理」 と同じ器の組み合わせになっています。
- 飯椀
- 左手前に置きます。ご飯を盛り付けます。
- 汁椀
- 右手前に置きます。汁物を盛り付けます。
- 平椀
- 左奥に置きます。煮物などの温かい料理を盛り付けます。焼き魚用に別の皿を用意しない場合は、平椀に焼き魚を盛り付けます。
- つぼ椀
- 右奥に置きます。酢の物などの冷たい料理を盛り付けます。お作り(刺身)を盛り付ける場合も、つぼ椀に盛り付けます。
- 高坏
- 真ん中に置きます。歯固め(石)や梅干しを盛り付けます。 通常の本膳料理では漬物や酢の物など軽いおかずを盛り付けます。高杯がない場合はお椀の蓋で代用できます。
上記は代表的な一例であり、平椀・つぼ椀・高杯は、仏教の宗派によって配置が異なります。
- ・臨済宗・曹同宗の場合は、高杯を右奥に、つぼ椀を真ん中とします。
- ・浄土宗の場合は、平椀が右奥、つぼ椀が左奥にくるように並べます。
- ・真言宗・日蓮宗・天台宗の場合は、平椀が左奥、つぼ椀が右奥、高坏が真ん中になるように並べます。
臨済宗・曹同宗

浄土宗

真言宗・日蓮宗・天台宗

男女の違いは、地域によっては逆転するケースもあり、最近では男女を問わず、「祝い」の意味を持つ赤の漆器を使うことが一般的になっています。漆器は日常的に扱いにくい面もあり、お食い初めだけの為に正式な食器を購入することを迷われるのも無理はありません。現在では習わしにこだわらず、儀式のあとも使用できるベビー食器など、家庭で簡単に用意できる食器で儀式を行うことが多いです。